〈法人グローバル研修〉
Yさん 2008年入職
所属:協立記念病院・緩和ケア病棟
グローバル研修先:第二協立病院・緩和ケア病棟(7ヶ月間)

〈院内グローバル研修〉
Oさん 2017年入職
所属:第二協立病院・障害者病棟
グローバル研修先:第二協立病院・透析センター(2ヶ月間)

所属病棟での看護の専門性をさらに高めるため、院内外のグローバル研修に参加した2名の看護師が、研修での学びや今の思いを語り合いました。
グローバル研修
法人は急性期から在宅部門まであらゆる系統の病院や施設、部門を有します。この特色をいかし、様々な看護体験ができるように、法人内施設の横断または施設内他部署での実地研修「グローバル研修」を行っています。担当している看護領域を深めるために違う領域を経験してみたい方、勤務している病院に新たな医療サービスが立ち上がる際の準備として他の病院のやり方を学びたい方など、様々な理由からこの研修制度が活用され、協和会の看護の質を向上させています。期間は6ヶ月が基本です。看護師としての視野を広め、キャリアアップできることから、モチベーションの維持向上につながっています。

◎グローバル研修に参加した経緯を教えてください。

Yさん 私が新人の頃、ある30代男性のがん患者さんを受け持ったことがあったのですが、私の夜勤前に容体が急変されて。急性期病棟では患者さんと関わる時間が限られているので仕方ないのですが、その方の希望をあまり叶えてあげられないままお別れしてしまったことがずっと心残りで。

Oさん わかります。それで緩和ケアに興味を持つように?

Yさん そうです。患者さん一人ひとりにもっと寄り添える看護がしたくて。その思いを上司に伝えていたところ、病院に緩和ケア病棟が新設されることになった時に、法人内の緩和ケア病棟で研修してみないか?と声をかけていただいて、7か月間。Oさんは?

Oさん 私の所属している障害者病棟では、入院患者さんの透析を院内の透析センターで行っていたのですが、患者さんの病態に応じて病棟でも透析を行えるように病室を改装したんです。そこで2ヶ月間、院内の透析センターで透析患者さんの看護を学ばせていただいたという経緯です。

Yさん なるほど。病棟の中で透析ができるようになったら移動が減る分患者さんへの負担も少なくなりますしね。

Oさん そうなんです。今までは透析に行く前、行った後の患者さんの様子しか看られていなかったので、センターの方に任せるだけではなく私も透析に関する知識や技術を身につけたいと思って、研修に立候補しました。

◎研修で学んだこと・感じたことは?

Yさん 研修先では2名の終末期の患者さんを担当させていただき、薬物療法・非薬物療法・症状緩和・家族ケアなどを実践的に学びました。お二人とも残念ながら研修中にお看取りになってしまったのですが、看護師として最期までしっかりと寄り添うことができました。

Oさん そうですか。患者さんのご家族にとっても、尊い時間だったでしょうね。

Yさん ご家族への対応は特に勉強になりましたね。亡くなられた後は、ご家族へ心をこめてグリーフの手紙を書かせていただきました。緩和ケアの現場を経験して、緩和ケア病棟は死を待つだけの場所ではなく、患者さんがご自身の人生を生き抜く場所だと改めて実感しました。

Oさん それは貴重な体験でしたね。看護観が変わりそう。

Yさん そうなんです。病棟には生きる希望を持たれている患者さんがたくさんいて、その方々にとって自分らしい生活ができるよう全力で支えていくことがとても大事だなと。患者さんやご家族と時間をかけて信頼関係を築いていけば、いい最期を迎えられると思いました。

Oさん 私は、院内の透析センターで体重測定・穿刺・バイタルサイン測定・アラーム対応・点滴管理・血圧管理など、いろいろ学ばせていただきました。

Yさん 一言で透析と言ってもすることがたくさんあるんですね。

Oさん はい。体重測定ひとつ取っても測り方に特殊な計算式があったりして、透析に行かれる前後にしていたことの意味や理由がよくわかって毎日目から鱗というか……。

Yさん たしかに。領域が違うと、見えるもの変わりますもんね。

Oさん そうなんです。それに、体の中の血液を出してキレイにしてから戻すという一連の治療に触れることで、患者さんの負担やしんどさをリアルに想像できるようになったし、DWや体重測定の重要性、血圧測定の必要性、輸液管理など、透析についての理解がさらに深まりました。

Yさん 経験しないとわからないことだらけですよね。

Oさん はい。病棟では経験できないことばかりで、研修に参加して本当によかったと思います。

◎研修を終えてどんな変化がありましたか?

Yさん 私は、緩和ケアの現場を経験してから死生観が変わりました。残された日々を懸命に生き抜く患者さんたちの姿には心動かされます。

Oさん わかります。現場では学ぶことが多いですよね。

Yさん そう。あたりまえのように生きている一日一日が大切で、もしかしたら明日はないかもしれない。そう思うと、自分のまわりにいる大切な人たちを改めて大事にしなきゃと強く感じました。

Oさん そうですね、私もそう思います。

Yさん 実は今、「がん性疼痛看護」の認定看護師をめざしています。痛みを抱えるがん患者さんが少しでも安らげるよう、専門的な知識や技術を学びたいと思います。

Oさん すばらしいですね。協和会は資格取得のサポートも手厚いですし。がんばってください!

Yさん ありがとうございます。Oさんは、研修後にどんな変化がありましたか?

Oさん 私は透析中の看護を経験したことで、透析センターから帰ってきた患者さんのバイタル測定やシャント肢の観測を強化するようになりましたし、状態変化の申し送りがあった場合には、特に注意して観察できるようになりました。

Yさん 意識が変わったということですね。

Oさん そうです。私が研修で得た知識を他の看護師にも共有して注意喚起することで、まわりの意識も変わってきたような気がします。

Yさん それはすごい。これからの目標はありますか?

Oさん そうですね。患者さんのためにも、透析センターともっと連携して一貫した看護を提供できるようなシステムを作っていけたらと思います。その中心的な存在になれるよう、さらに経験を積んで専門性を高めていきたいですね。

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