〈老健看護〉
Oさん 2000年入職
在籍:ウエルハウス協和

〈訪問看護〉
Nさん 2020年入職
在籍:協立訪問看護サテライトマリナセンター

訪問介護から訪問看護に転身した協和会入職3年目の看護師と、病院勤務から老健勤務に異動になった看護師長、施設で活躍する2名が語り合いました。

◎施設の看護師になったきっかけは?

Nさん 実は私、看護師をめざす前に訪問介護の仕事をしていたんです。13年間、介護士として在宅で高齢者や障害者の方の生活をサポートしていました。

Oさん すごい、13年間も?

Nさん はい。在宅介護は私のライフワークであり天職だと思っていたのですが、ある終末期のがん患者さんの介護にあたった際、自分のできる支援の幅に介護職としての限界を感じてしまって。

Oさん どんな風に限界を感じたのですか?

Nさん その方は、がんが進行するにつれて痛みを訴えるようになっていって。一緒に支援に入っていた訪問看護師が、痛みの評価をした上で薬の処方をテキパキと進めている姿を見て「私も医療的側面から在宅支援ができる人材になりたい」と強く感じて、看護師になることを決めたんです。

Oさん すばらしい決断ですね。天職である在宅支援を深めるために看護師の道を選ぶなんて。

Nさん いえいえ。療養者さんの在宅支援にやりがいを感じていたからこそ、大きな決断ができたのだと思います。なので、最初から病院の看護師ではなく訪問看護師を希望しました。Oさんはどんな経緯で老健施設に?

Oさん 今の老健施設は、私が主任として働いていた協和会病院の敷地内にあります。ただ、隣接しているのに2つの施設がうまく連携できていなくて。看護部長から「病院と老健の架け橋になってほしい」と言われて、老健へグローバル研修に行くことになりました。研修は1年間の予定でしたが、老健での看護についての理解を深めきれず、「これでは来た意味がない」と思ってさらに1年延長させていただいて。

Nさん 老健の仕組みって結構複雑なんですね。

Oさん そうなんです。2年間でなんとか全体像が見えてきたのですが、病院と老健の風通しが少しずつ良くなりつつあるタイミングだったので「もう少しがんばりたい」ということで、そのままこちらへ異動という形になりました。

Nさん なるほど。そういうパターンもあるんですね。

◎病院との看護業務の違いを教えて!

Nさん 私は入職後、病棟看護師を2年間弱経験しましたが、その時はとにかく時間内に受け持ち患者さんの処置を終わらせて記録を書くことに精一杯で、患者さんと向き合う時間も余裕もありませんでした。訪問看護では療養者さん一人につき30分から1時間、時間が取れるので、それぞれのペースに合わせた丁寧なケアができるんです。

Oさん それって、療養者さんにとっても嬉しいですよね。

Nさん はい。その人が暮らしの中で何を大切にされているか、疾病を抱えながら、これからどんな生活を送りたいのかを何気ない対話の中で知ることができますし、何よりも生活空間にお邪魔することで、療養者さんを包括的に看られるのがいちばんの違いかもしれません。

Oさん たしかに。病棟だと患者さんを断片的にしか看られないですしね。

Nさん そうなんです。たとえば余命がわずかな療養者さんを、在宅で看取るのか緩和ケア病棟で看取るのか、ご本人・ご家族と何度も話し合いながら、じっくり時間をかけて意思決定する支援ができるのは訪問看護ならではだと感じます。老健はどうですか?

Oさん そうですね。病院に比べて老健は利用者さんの数も職員の数も少ないので、利用者さんの情報を共有しやすく部署間の連携も比較的スムーズだと思います。

Nさん なるほど。利用者さん一人ひとりに関わる時間も長く取れるのですか︖

Oさん 病院に比べると少し長いかな、というくらいです。

Nさん そうですか。少しでも時間が取れるなら利用者さんも安心ですね。

Oさん あと、もうひとつ、病院との違いがあります。老健は介護施設なので介護職と看護職の配置基準が違い、看護師の人数は病院と比べて少ないです。夜勤をする医療職は看護職だけなので、利用者さんの病態変化を敏感に察知し、対応する役割があります。また、介護職との連携はとても重要です。介護職が、いつもと何か違うな?と気づき報告してくださることもあります。

Nさん いざという時の看護師、ですね。重要な役割だと思います。

◎施設で働くやりがいと目標は?

Nさん 訪問看護では一人ひとりと関わる時間がたくさんあるので、療養者さんの精神的な部分にまで目を向けられるんですよ。お会いした時の表情や言葉、変化から感謝の気持ちを感じることができて、それがやりがいにつながっています。

Oさん 精神的な部分に目を向けられるって、すごく意味のあることですよね。

Nさん そうなんです。私を信頼して頼ってくださる療養者さんの病状や生活状況に変わりがないか、一瞬でも見逃してはいけないという責任感がますます強くなりました。

Oさん なるほど。Nさんの今後の目標は何ですか?

Nさん まずは終末期看護や家族支援について、理論と実践から理解を深めていきたいと思っています。将来的には、ケアマネージメントを学び直して療養者さんが安心して在宅で生活できるよう高度な支援が行える人材になりたいですね。

Oさん すばらしいですね。私は立場上、介護職だけでなく各部署の看護師からも利用者さんの病状について報告・相談を受けるのですが、医師が24時間常駐しているわけではないので、本当に必要な処置なのかをしっかり考えて判断しないといけなくて。

Nさん それは大変。見極める力が必要ですね。

Oさん 大変ではありますが、施設の職員から頼られているという充実感もありますね。老健の看護師として意識しているのは、訪問看護にも共通することですが、利用者さんのちょっとした変化を見逃さないこと。基本的に施設には医師が一人しかいないので、現場にいる私たち看護師が普段から利用者さんの様子をしっかり把握しておくことが重要なんです。

Nさん それは気が抜けないですね。

Oさん 高齢者は特に、ご自身で病態変化に気づきにくいこともあるので注意が必要で。

Nさん わかります。高齢者はそこが怖いところですよね。

Oさん そうなんです。今、施設の中で少しずつ看護師の教育体制が整ってきたので、そこをもっと強化していきたいですね。あとは介護職のスキルアップと管理者の育成。こういうことができるようになれば、病院との連携もよりスムーズになると思っています。

Nさん それは、Oさんの手腕にかかっていますね。

Oさん そうですね。病院と老健の架け橋になれるよう、全力で取り組んでいきます。

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